【活動報告】線維筋痛症学会で発表&参加して 第3弾

線維筋痛症学会で発表&参加して

2019年10月5日~6日に行われた「日本線維筋痛症学会第11回学術集会」で発表&参加しました。

興味深い演題が沢山ありましたので第3弾をお知らせします。

運動療法について

線維筋痛症が改善した例は皆さま関心があると思います。改善した例は皆で共有して治療に生かすことが出来るのです。

今回は運動療法に関する発表を記事にしました。

運動療法についてのシンポジウムより①

松原 貴子先生
神戸学院大学大学院総合リハビリテーション学研究科

運動すると気分が爽快になり高揚するという経験は誰でもあると思います。
体を動かすと、嫌なことを忘れられたり、考えが煮詰まった時ちょっと散歩してくると、頭がすっきりしてアイデアが浮かぶこともあります。

松原先生によると…

・最近はExercise is medicine(エクササイズ イズ メディスン:運動が薬)と考えられ、慢性疼痛を始めとする様々な疾患に対する治療法として注目されるようになっている。

・運動はちょっとした工夫で、まさに自宅でできる最善の治療法となりうる。

・慢性疼痛に対する次世代の運動療法として、従来の筋力増強や持久力向上を目指す筋トレではなく、脳トレ運動*が注目されている。

*脳トレ運動とは、正しい知識や考え方に基づいて、主体的に実践する運動です。つまり従来の運動処方箋通りに「やらされている運動」ではなく、患者が「目的を持ってこうし たい、こうなりたいために自らの意思で行う運動」が有効なのです。

★まとめ★ 

・このような脳トレ要素を含む運動は慢性疼痛に対して、痛みや身体機能障害を改善すると同時に、心理的健康面も向上することが期待されることから、『マインド-ボディ エクササイズ』と称されるのだそうです。
・体力、バランス、柔軟性及び全体的な健康増進をするために身体運動、意識の集中、制御された呼吸を組み合わせた運動のことで、ヨガ、太極拳、気功などがよく知られています。自分の体力に合わせて、呼吸を乱すことなく、体を動かすので、副作用がなく安全で簡単に誰でもどこでも行える治療法として、ライフスタイルに取り入れていただくことをお勧めします。

★ポイント★

薬だけの治療でなく運動と心理面への対応が必要です。

筋がリラックスすることを充分に意識しながら行う、筋肉運動自体と言うよりも、動いているイメージ、脳への刺激(脳の運動野への刺激)が重要なのです。

運動療法についてのシンポジウムより②

下 和弘先生
神戸学院大学総合リハビリテーション学部

下先生によると…

運動療法は慢性疼痛のマネジメントの第一選択治療法であり、身体機能や生活障害を改善させ、疼痛を軽減する効果を持っています。
わが国の線維筋痛症治療ガイドラインでも運動療法は強いエビデンスレベルで推奨されています。しかしその一方で線維筋痛症などの慢性疼痛患者は、かえって運動によって痛覚過敏が生じ、疼痛が誘発される場合があることも報告されています。ただしこの運動による痛覚過敏は運動中または運動後の一時的なもので、定期的な有酸素運動や日常の身体活動を増やすことで疼痛抑制効果が得られることが示されています。患者の身体機能やライフスタイルを含めた身体活動を十分に評価し、負荷量を適切に設定することで、運動や身体活動に対する不安を軽減し、安心感を与えることが重要です。

下先生によると、線維筋痛症患者さんは頑張りすぎる面があるので、次の点に留意します。

1:あらかじめ無理をしないことをよく理解すること

2:日常生活の見直しを行い、活動性を高めるポイントを見つけること

3:もっとやれそうでも少しずつ毎日、を守ること

4:できない日があっても気にせず、休むことを先に取り決めておくこと

5:家事も運動であるということを意識しながら行うこと

★感想&ポイント★

運動は確かに必要だし、効果的だとはわかっても、毎日コツコツやるのが難しいと誰しも思う事でしょう。

ましてや寒くなったら外に出るのも気が滅入るし、第一痛みがあるので動けないと思われるでしょう。

医療者は様々な工夫をしていますが、患者さんが実際にどれだけ日常生活に取り入れるか工夫が必要です。

松原先生の言われた「自分がどうしたいか、何をやりたいか」の目的も必要ですし、下先生の言われたように一気に頑張りすぎても続かないです。自身のペースを作るにはこの5カ条をぜひ参考にしてみてください。

家事も運動であるとすれば家の中でも、日常動作の中でも運動になる部分は沢山あるという事はちょっと救いです。

きんつう相談室

投稿者:

きんつう相談室

プロフィール